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広島高等裁判所 昭和39年(う)407号 判決 1965年3月12日

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役二年に処する。

原審における未決勾留日数中三〇日を刑期に算入する。

理由

弁護人立石定夫の控訴の趣意は記録編綴の控訴趣意書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。

先ず職権をもって調査するに、原判決は刑法第四五条後段の併合罪の関係にある前科として、被告人は(イ)、昭和三九年二月二四日福山簡易裁判所で道路交通法違反罪により罰金八、〇〇〇円に処せられ右裁判は同年三月二四日確定し、(ロ)、同年四月一三日同裁判所で暴力行為等処罰ニ関スル法律違反罪により罰金一五、〇〇〇円に処せられ右裁判は同年五月七日確定しているものである、と判示し、法令の適用において、原判示第一の一、二、三の各罪は右各前科の罪と刑法第四五条後段の併合罪の関係にあるとして、同法第五〇条により右各罪につき更に処断し、結局主文において二個の刑を掲記している。しかしながら、原判示第一の一、ないし七、の各所為はその態様からみて包括して一個の犯罪(営業犯)と評価すべきものであるところ、かかる包括一罪の中間に別種の罪の確定裁判が介在しても、そのために右犯罪が二個の犯罪に分割されるものでないと解すべきであり、またかかる営業犯的包括一罪の場合、刑法第四五条の適用については、その終了時を基準としてこれを判断するのが相当である。(最高裁判所昭和三九年(あ)第一〇三号、同三九年七月九日第二小法廷決定参照)

してみれば原判示第一の各所為(包括一罪)は昭和三九年八月三日に終了していること、その判文自体から明らかであるので、前記各確定裁判の罪とは刑法第四五条後段の併合罪の関係にはないものと云わねばならない。したがって原判決はこの点において法令の適用に誤があり、その誤は判決に影響を及ぼすこと明らかであるから弁護人所論に対する判断をするまでもなく破棄を免れない。

よって刑事訴訟法第三九七条、第三八〇条に従い原判決を破棄することとし、同法第四〇〇条但書に従い当裁判所は更に次のとおり判決する。

三、原判決の認定した事実に法律を適用すると、原判示第一の各所為は犯意継続してなされた所謂営業犯であるから包括して一罪と解すべきところ、右は職業安定法第三三条第一項、第六四条第二号に、原判示第二の所為は刑法第二二〇条第一項に、同第三の所為は河川法第一七条の二、第五八条第一号にそれぞれ該当するところ、被告人には原判決挙示のような累犯の原因となるべき前科があるので、右第一および第三の各罪につき所定刑中いずれも懲役刑を選択したうえ、刑法第五六条第一項、第五七条に従いそれぞれ累犯加重し、以上は同法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四七条本文、第一〇条に則り最も重い監禁罪の刑に同法第四七条但書の制限に従い法定の加重をした刑期範囲内において被告人を懲役二年に処し、同法第二一条を適用して原審における未決勾留日数中三〇日を右刑期に算入することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 尾坂貞治 裁判官 藤原吉備彦 植杉豊)

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